俺は手の中にある、『人質』ならぬ『物質(ものじち)』の鍵を見せると、美雪は『あっ』と言う表情をして、それを取ろうとした。 俺は取られない様に、手を引っ込めた。 「どう言う事なんですか? 鍵、返して下さい」 「代わりに質問に答えて欲しいな」 「交換条件なんて、ずるい!」 美雪はそう怒鳴ったけど、俺は質問を続けた。 「どうして俺を避ける?」 その言葉に、美雪の体が、ビクン、と大きく揺れた。