カバンを持ってその場を離れようとした美雪の前に、俺は邪魔する様に立った。 ──そんな表情のまま……行かせられないだろう。 「通して下さい」 強気な口調で美雪は言った。 俺は思わず、笑ってしまった。 仕方ない……強行手段で……。 「また、です・ます調に戻ったね」 「そんなの、関係ないじゃないですか。私、部活があるんです」 「そう。それは失礼しました。でも、これ、持ってかなくていいのか?」