「あと、会えたときには俺と、またテニスの勝負しようね。今度は俺、絶対負けないから。」
「あははっ。あたしだって負けないよ。」
陽路と久しぶりにこんなに笑い合った気がする。蒼兄がいなくなった去年の夏以来、微妙に気まずくて陽路と笑い合うなんてことなかったから。
「じゃ、俺そろそろ帰る。ちゃんと、引っ越す日は連絡してよね。」
「はいはい。わかってるよ。」
陽路と一緒に部屋を出て、台所のおばさんに挨拶をして陽路の家を出る。いきなり外に出ると、やっぱり太陽がまぶしい。
「…涼夜、ありがとね。」
「?…何?」
「何でもないよ。」
ポツリと陽路がつぶやいた一言が聞き取れなくて、振り向いて聞き返した俺に返ってきたのは、陽路のいたずらな笑み。
陽路が心なしか元気になったような気がして、俺の頬もゆるんだ。

