君がいた日々


「…さっきの話、聞いてたんだ?」


答える代わりに、小さく頷く。
陽路がはぁっと大きく息を吐いた。


「じゃあ、話は早いよ。
あたし、明春の中学の方には行かない。凌葉の中等部に外部の枠で行くことにしたの。もうちゃんと、入学試験は受かってる。」


もうすべて、決定事項。
俺一人のわがままで覆すことなんてできないくらい、陽路の意志は固く感じた。


「…何でっ?どうしていきなり、凌葉に…」

「……ぶっちゃけ、まだツラいんだ。
あたし、全然吹っ切れてなくて。どこにいても蒼を探しちゃって…。だから新しい場所で、新しい人たちと、新しい生活を送りたいの。」


そう言って顔を伏せた陽路。

やっぱり陽路は俺と同じように感じていたんだ。
だけど俺よりも心が重傷で、それがツラくて、耐えられなくて、新しい明日を選ぶんだね。