震える手を握りしめる。
何で陽路は、どうして…?
「今日はありがとうございました。」
混乱する俺の頭に、凛と響いた声で現実に引き戻された。俺はハッとして、再び家の玄関に視線を向ける。
「いや、大丈夫だよ。君が我が凌葉に来る日を楽しみにしているよ。」
「外部の子はエスカレーター式の子と比べたら大変だと思うけど頑張ってね。」
「はいっ!」
お互いに軽い会釈を交わし、男たちは車に乗り込んでいく。窓越しに陽路やおばさんにまた軽く頭を下げ、高級車は去っていった。
「陽路、これでよかったの?」
「うん。いつまでも引きずったままじゃダメだと思うから。」
おばさんがぽつりとこぼした問いに答えた陽路は、やっぱり少し悲しげだった。
……けれど、これでいいわけなんてないじゃん。

