蒼兄がいなくなってからも、時間は何もなかったように過ぎていった。

変わらない日々。
人ひとりいなくなることなんて、広い世界の中ではほんの些細なことで、この喪失感は関係ない他人なんかにはわかりやしない。

そしてただ変わってしまった、俺と陽路のそばに蒼兄がいないという事実。

受け入れられなくて
それでも受け入れざるを得なくて。

心の中に、埋めることのできない隙間ができた。

陽路だっていつも泣きそうな顔をしてる。
最近は少し元気になったようだけど、以前の陽路とは程遠いようにも感じた。