しだいにまた熱くなってきた目頭、湧き上がる苦しくてツラくて悲しい気持ち。
でも。
目の前には、俺の前だから…、と必死で笑おうと努めるおばさん。
後ろのソファーには、精神的ショックで倒れた陽路。
こんな二人の間で、俺までもが泣くわけにはいかない。しっかりしろと自分に言い聞かせ、必死に涙を堪えた。
「…おばさん。 今度は俺が強くなるよ。 蒼兄みたいに誰かを守れるくらい、強くなるから。」
「えぇ、楽しみにしてるからね。」
全部を抱えるのは大変かもしれない。
蒼兄みたいにはなれないかもしれない。
だけど。
これから先、今一歩踏み出さなければ俺たちは、一生前へは進めないのだろう。