俺が上級生にいじめられてたときも、陽路が一人でいろいろ抱え込んでたときも、一番最初に駆けつけて助けてくれたのは蒼兄だった。
俺が一人でふてくされてたときも、陽路が一人で泣いてたときも、優しく頭をなでて笑わせてくれたのも蒼兄だった。
「蒼はもう二人とは一緒にいられないけど、二人といられた時間はかけがえのないものだったのよ。」
“かけがえのないもの”
それは俺たちにとってだって同じだよ。
「蒼と一緒にいてくれて、同じ時間を共有してくれて、本当にありがとうね。」
そう言って、さっきよりも柔らかい笑みを浮かべるおばさん。でも。
“ありがとう”を言わなきゃならなかったのは、蒼兄でもおばさんでもなくて、俺の方だったんだ。

