「それ、かるーく失礼だよな。ま、いいけど。」

「あ、いいんだ?」


くだらない会話。それでも、それだけで和む。でも、あふれる陽路への気持ちをムリヤリ押し込める蒼兄に、何だか胸の奥がチクリと痛んだ。


「ってか涼夜、俺の気持ちのこと、陽路にはヒミツだぞ。」

「蒼兄だって俺の気持ち、ヒミツにしてよね。」


こんな男同士の会話、陽路には恥ずかしくて聞かせられない。それに、俺の気持ちは時が来たらちゃんと、自分で伝えたいし。


「よし。じゃ、男同士のヒミツだな。」

「うん。」


話が終わって静寂が訪れた室内。
再び、氷のカランという音が響いた。