全てがキミだった



「ごめん」

「……っ」
 


わたしは公平に抱き寄せられた。 
 

第三ボタンまで開けたシャツの間から、公平のぬくもりを感じる。


トクトクと穏やかな心音。


公平の汗の匂い。


いつも見てきた大きな腕。


厚い胸板。


それが今、わたしの目の前にあり、きつく抱きしめられている。
 

鼻の奥がジンと痛くなった。


零れる雫を堪えようとすればするほど、頬が細かく痙攣する。
 

こんなにも涙が溢れるのは、いきなりの事に驚いたからか。


それとも、ずっと想っていた公平のぬくもりに安心したからか。
 


いや、違う。


『これが最後だ』と、わたしの体の全細胞が悟ったからだ。