「飛べるよ」
視線をグランドに落としながら言った。
わたしの声、震えていないだろうか。
「公平は飛んで行ける」
公平は、わたしの言葉に笑う事なくただ『ありがとう』と言った。
「もし――。
もしも、その翼で飛べなかったとしたら、」
「ハッ、飛べないかもな」
「飛べるよ」
「どうしてそう思うの?」
「公平には想う人がいるから。
大切な人がいたら、人間だって飛べるんだよ。
ペンギンだって。だけど、もしも。
もしも、飛べなかった時にはこれがある」
わたしはスカートのポケットの中から、四つに折って入れてあったプリントを取り出した。
それを、記憶をたどって折っていく。



