全てがキミだった



紙袋から出てきたものを見て、公平の目が丸まる。


「……おまえ」


わたしは、深く息をはいた。


もう一度目を閉じ、気持ちを整理する。


ボールを掴む手が、震えた。



「返すよ。
ほら、これは公平のだし、ずっとわたしが持ってるのはやっぱりおかしいからさ……

それに、それには……」


わたしは、ここで言葉を区切った。


ここで、ミサキの名前を出していいものかと、考えてしまったから。


それには、ミサキの印しがついている。


もうこれ以上、ミサキの思い出を持っていたくない。


本当はそう言いたかった。



公平は、わたしの手からボールを受け取った。


懐かしむようにボールを見つめ、そっと撫でていた。



「懐かしいな」