「公平……」 「ん?」 「あのさ……」 「なーんだよ。 やっぱ、なんかあったんだろ」 ギュッと、紙袋の中でボールを掴む。 次第に手の平が汗ばんできて、ボールがじわりと濡れていく。 この乱れる鼓動、公平に伝わりませんように――… わたしは、唇を噛み締めて固く目を閉じた。 ゆっくり紙袋からボールを出したつもりだったけど、その音が、ガサゴソと妙に大きく感じた。 「これ、返す」