全てがキミだった

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「公平、何してるの?」


3学期の放課後、一人教室に残って何かを必死に彫っていた公平に声をかけた。


「ん?
彫ってんだよ。俺がここにいた証に」


一旦わたしに顔を向けた公平は、軽く微笑んで机を指差した。


それをわたしは覗いてみる。


“せいしゅんじだいの
おれのつくえ”


机の右上に、でかでかとそんな事が彫られていた。


「器用だね」

「だろ」


また、得意げに微笑む。


「池内もなにか彫ってみろよ」


公平は、顎でわたしの机を差しながら、手に持っていた彫刻刀をわたしの手に持たせた。


約半年、わたしの席は公平の後ろだった。


いつも、公平の大きな背中を眺めて授業を受けていた。


どんな時にも公平の真っ白なシャツが目に入って、全く授業に集中出来ない事さえあった。