全てがキミだった



公平はスタートを軽やかに切り、指示の紙が入った箱の中に手を入れた。


慎重に選んで、紙を広げている。


微かに眉間にしわを寄せ、首を傾げているようだった。


一体、紙には何が書かれていたのだろう。


ラックにかかった衣装の中から、一つの衣装に手を伸ばす。


そして、急いで“それ”に着替えていた。


その瞬間、普段は公平には飛ばない黄色い声が、各テントから飛び始めた。


わたしは、公平のその姿を見て、ただただ目を丸めるばかり。


黄色い声を上げる余裕なんて、わたしにはなかった。



――――……



「ちょ、ちょっと、亜美、あの格好」


香織に激しく肩を揺らされても、わたしは何の反応も出来なかった。