次の朝、いつになくすっきり目覚め、身支度を整えて外へ出ると、百地がいた。


「おはよ」


百地の笑顔に、胸が騒いだ。


「お、おはよ。まだ忘れてなかったんだ…」

「忘れる訳、ないだろ?信用ないな…ほら、行くぞ」


忘れてくれて良かったのに。

朝、一緒に登校するなんて、誰かに気付かれたら面倒だよ。


「昨日はあれから、どうだった?」


気を取り直して、昨日のあれからを確認した。


「別に、普通」

「半田先生、怒ってなかったんだ」

「怒るも何も、校長だって言ってただろ、奴は翔に期待してるって」

「そして、百地君にも、ね」

「かもな……
クラブの顧問なんて、報われない雑用だぜ。
せめて大会で生徒が良い記録出してくれれば、先生だって自慢できるじゃないか。
人間なんて、そんなもんだよ」


「そんなもんね……」


ちょっと下手に出れば、機嫌良くなるなんて、最低じゃん。

ろくな人間じゃないに決まってる。