「ありがとう」


 その笑顔を見たら、1ヶ月でもいい気がした。

 短かろうと、美華と過ごせるんならそれでいい。







 手を繋いだまま登校すればかなりの奴等に驚かれた。

 1番リアクションが凄かったのはやっぱり、俺らのクラスメイトだった。

 ま…どんだけ俺が避けられてたか知ってるし。

 いろいろ協力してもらったからな。

 廉と間中も直接おめでとうと言ってくれた。

 今まで遊んでたからか、妙に照れ臭い。

 そう言えば…乃亜はどうなったんだ?

 美華は何も言ってこない。

 まあ美華に何かあったらケイさんが黙ってねぇだろうし。

 大丈夫、だよな…?

 あ、そーだ。

 机に鞄を置いて中を漁る。

 指先に触れた硬いモノ。

 それを引っ付かんで美華の席に向かう。

 美華は女子に問い詰められていた。

 ンなの気にしねぇけど。


「美華、新曲聞いたか?」

「え、…新曲って何の?」

「ばっか…The wingに決まってんだろ。
 『明日の夢』昨日発売じゃん」


 CDを渡しながら言う。