ばらまかれたクスリ



基本、学校に着くのは遅刻ギリギリ。



今日も例外ではなく、ホームルームが始まる5分前に教室に入った。



自分の席の机に、殴るようにしてカバンを置くと、後ろから誰かが抱きついてきた。



これが、女だったらいいのだが……残念ながら顔のすぐ下にあるのは、少し血管が浮き上がっている焼けた茶色い肌。



筋肉もある、オレより。



「気持ちわりぃから離せ!お前はホモか!」



顔の下にある腕をバシバシと手のひらで叩くと痛かったのか、茶色い腕はオレを解放した。



首を回して、抱きついてきたやつを見ると、小学生の時からずっと同じ学校のナツキが頬を膨らませて立っている。