【短編集】時空郵便


父が病院に到着し、2人は主治医と話をしていた。

閉ざされた部屋で聞かされたのは、最愛の息子の残りの命。

自分達の未来さえ、まだ数えきれない程広がっているのに。

息子に突き付けられたのは薄っぺらな紙が三枚分の命。

泣き崩れた母。

支える父の手も震えていた。

ゆっくりと、その時が近づいてきているのだ。

止めることもできない時間なら、せめて一秒でも長くと。

手を合わせることだけが2人の心をなんとか支えていた。




面会の時間が終わり、2人が病院を後にした。

消灯時間になり暗くなる部屋。

珍しく歩は目が覚めてしまった。

月明かりにおぼろげに照らされた桜の木がわずかに揺れている。

カチャ。

病室の扉が開く音がした様な気がしたが、ライトの丸が壁を伝わない。

夜勤のナースの見回りではないようだ。

「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ『時空郵便』の者でーす」

突然にその男が現れたのだった。