【短編集】時空郵便

僕はいつも通りに母に決められた時間に、家庭教師の決めた勉強をしていた。

「周りの大人の言うことさえ聞いてれば大丈夫。大丈夫。幸せになれる…」

心の根底でそれを否定しながらも、弱い僕には大人の言葉にすがるしか―

大人の敷いたレールを走ることしか―

できなかったんだと思う。

「あら。お勉強してて偉いのねぇ。大丈夫よあなたはきっと立派な大人になれるわ。」

ドアもノックしないで、母はいきなり入ってきた。

そして、いつも通りに僕を洗脳していくんだ。

「今日はあなたの好きなシュークリームを買ってきたの。お勉強が終わったら食べなさい。」

母はお盆に乗せていたシュークリームと紅茶を僕の机の横に置いた。

「いいこと?また、お勉強してるのか見に来ますからね。」

そう言い放って、母は僕を威圧して笑顔で部屋から出ていった。

「このまま母の言いなりで、大人になってしまっていいのだろうか…」

ふとそんなことを思った時だった。

「どーもー。毎度お騒がせ、安心便利をモットーに過去も未来もヨヨイのヨイ『時空郵便』の者でーす。」

変なキャッチフレーズを軽快に歌いながら、その男が現れた。