「お父さん……」
「……ん?」
「お腹空いたね」
「…………ああ」
そう言ってお父さんがテーブルの上にあった財布を取った。
私はパーカーの袖でどれだけ流したか分からない涙をぬぐう。
「……悪い奈緒美。コンビニ行って買ってきてくれるか?」
「うん」
お母さんを失った傷は大きかった。
元気で楽天的で町内でも有名だったお父さんは、今では脱け殻の様になってしまった。
忌引きの公欠なんて使い果たしても私は学校に行く力などなかったし。
お父さんも口には出さないけれど仕事どころではないのだろう。
そうだ、お母さんは太陽だった。
私とお父さんが学校や会社で頑張れる様にいつも温かく照らしてくれる、ウチの太陽だったんだよ。



