「あぶ、あぶ。」

まだまだ言葉も喋れない赤ん坊が、木枠の暖かなベビーベッドで天井を見つめている。

それを優しげな瞳で見つめる女性。

「あらあら、どこにあったのかしらこんな紙切れ?」

赤ん坊はペンを不器用に握りミミズの様な、字とは言えない字をどこからか見つけた真っ白な紙に書いていた。

女性は見覚えのない紙とペンを取り上げると机の隅に置き、ミルクを作る為にキッチンへと消えていった。

「ばぶー。」

赤ん坊は誰もいない机の方を見て微笑む。

「確かに手紙、承りましたよ。」



女性が人肌まで温めたミルクを作って部屋に戻ってくると。

「あら?さっきの紙はどこにいったのかしら?」

音もたてずにその紙とペンは消えていた。

「変ねぇ……」