俺は恐る恐るその何かに手を伸ばした。

「これは…便箋と封筒?」

奇妙なほど真っ白な便箋。

宛先などの記入欄すらない、やはり奇妙なほど真っ白な封筒。

「どーもー時空郵便の者ですけど。お受け取り頂けて嬉しい限りです。」

突然部屋の中に現れ、馬鹿でかい声で挨拶をする男。

濃い緑色の上下の服に身を包み。肩からはバッグをぶら下げていた。

そのバッグの正面にプリントされた『時空郵便』の文字。何もかもが異様だった。

「あんた何なんだ?いや、それよりも昔の自分に手紙を出せるってのは本当なのか?」

もはやそれが空耳だろうと、幻聴だろうと、幻覚だろうと、今の俺にはどうでもよくなっていた。

ただ、万に一つの可能性にすがりつくことで頭はいっぱいだった。

「あたしのことには興味なしですか。まぁ、別に淋しくなんてないですが…」

男は少し寂しげな顔をすると、ゆっくりと俺の手にある便箋を指差した。

「それは『時空手紙』と言いまして、未来または過去の自分に手紙を出すことが出来る。という代物になってます。」