相変わらず手を引かれたまま、炎尾は本邸に向かって歩いていた。 ふと、五穂はようやく、此処へ来た目的を思い出した。 「あの…炎尾様……。」 「何だ?」 顔は向けられず、声のみ返ってきた。 こうして主に気安く話し掛けることを、前の屋敷では禁じられていた。 その為、普通に返事が来ると言うのは、何とも妙な気分だ。 味わったことの無い、会話の新鮮さに、五穂はしばし余韻に浸ってしまった。 「…………。五穂、何だ?」 中々話を切り出さない五穂を不思議に思ったのか、炎尾が立ち止まり、振り返った。