狐面の主人



瞬く間に、柵はその姿を消していた。

炎尾の大きな胸に、ゆっくりと身体を預ける五穂。



「……人間のお前が…狐の嫁入りとは…あまり良いものではない気がするが…。」


「…炎尾様の下に嫁げるなら…、五穂は幸せで御座いますよ…。」




軽く抱擁を交わした後、五穂は炎尾の手に引かれ、橋の方へと歩き出した。


リン…
リン…


静かに響く鈴の音。

ポッポと灯る、淡い狐火。


いつの間にか、五穂は純白の、花嫁衣装を見に纏っていた。