「五穂…………。」
炎尾が優しい声で、五穂の名を呼んだ。
五穂は、返事をするのも忘れ、その姿に目を奪われていた。
「…五穂………。」
「…え………
∑あっ、は、はい!!」
再度名を呼ばれ、五穂は慌てて返事をした。
見上げる銀狐の身体は大きく、頼もしく、そしてどこか、人型の時の、炎尾の面影があった。
九本だった尾は、その数を格段に増し、流れる風のようにたなびいていた。
「…五穂…礼を言う……。
お前に信じて貰えずにいたら、俺は今、この姿では居まい…。」
五穂は意味が分からず、首をかしげた。
すると懐から、雨珠が顔を覗かせた。
【おぉ、おぉ、主殿…!
やっと、そのお姿に…!
オイラ…今まで生きてきて…良かった!】
「え?え?」
状況が全く分からず、五穂は炎尾と雨珠を交互に見た。
《炎尾いぃぃッ!!
貴様いつ、そのような強大な妖力を手に入れおったあぁぁ!!》
妖狐達は混乱し、足元の御膳、そして障子や襖を蹴破り、怒りを露にしていた。
そんな哀れな狐達に、銀狐は言った。



