不器用な前奏曲

「え?」

今度は彼女が大きく目を見開いた。



「美咲は俺に話があるみたいだから席はずしてくんね?」

「先輩…何言って…」

「日坂が行かないなら俺らが行くよ。
行こう。美咲。」


そう言って、翔吾はあたしの手を握って、人気のない芝生の生えたところまで引っ張った。

不思議なことに、その手を振りほどこうなんて想いは少しも生まれてこなかった。