その手に触れたくて


「だからそう言うダラダラすんの面倒くせぇっつってんの」

「……」

「俺がいつ美月に言った?美月が迷惑だって?」

「言ったよ。別れよって言われた時、そう言われた」


またもや隼人は顔を顰めて息を吐きだす。


「あれはそうするしかなかった。そうするほうが自分の為にも美月の為にもいいと思ったから。でも結局は全部裏目だったけど」

「……」

「あの時、言った事は全部嘘。だからすごく後悔してる。…ただ美月を守りたかった」

「……」

「美月にはもう会わねぇって思ったけど、でもやっぱ心は正直でさ、美月が学校で倒れた時、俺の足が勝手に進んでて、気づいたら抱きかかえてた」

「…隼人…覚えてたの?」

「あぁ」

「でも、一度聞いた時忘れたって言うから」

「だからあの時はそう言うしかなかったんだって」


申し訳なさそうに顔を顰める隼人は何度も息を吐き捨て、あたしとの距離を更に縮める。

あたしの真ん前まで来た隼人は頭の上に手を置き、クシャっと撫で気づけば隼人の腕に抱かれてた。


「…隼人?」

「ほんとお前、面倒くせぇ…」

「面倒くさいって…」

「今は応えだせねぇって言っときながらすぐこうやって現われっから諦められねぇだろ」

「……」

「嫌なら俺の前に現われんなよ」

「嫌なんて一言も言ってない」


そう言ってあたしは隼人の胸に顔を押しつけた。