その手に触れたくて


「なんか…ごめん」


外に出て自転車に跨る隼人にそう言って、後ろに座る。


「全然。それよか掴まれよ」

「あ、うん…」


そっと隼人に遠慮気味に触れる手。

こうやって毎日一緒に居た日の事を思わず考えてしまった。


あんなに触れたくて触れたくてと思ってた隼人が居る。

今更、やっぱ好きだよ。なんて言えない気がした。


でも多分きっと卒業したら会う事なんて二度とないと思う。


吹っ切れたと思ってたのに、こうやって触れちゃうと潜めていた想いが膨らむ。

“好きだよ”って言う感情がまた新たに出てくると、自分でもどうしていいのか分かんなかった。



帰りの道はお互いほとんど話さなかった。

何をどう話せばいいのかなんて分からなかった。


そしてそれからの日々は学校でも会う事も少なく、会話だって全くしない日々だった。

そんな日が続いても、どうって事なかったのに、あたしを変えたのは卒業式だった。