なぜだろうあの時――

杉宮先輩の笑顔が頭を横切った。

そっか……

そうなんだ……オレはあの人を――


信じていたんだ。。。





空き地まで運ばれた鴨居は、岡崎の顔を見て安心したのだろう気を失った。

岡崎は鴨居が目を覚ますまでの五分弱の間、ずっと鴨居の胸に顔を埋めるようにして泣き続けた。




そうして、ようやく鴨居が目を覚ます。

「ん……痛っ!!」

「カモ先輩!?カモ先輩、よかった気が付いたんスね。」

『ポタッ』と鴨居の頬に温かな物が落ちてきた。

「早苗ちゃん……?」

鴨居が目を覚ましたことが本当に嬉しかったのだろう、岡崎はまたわんわんと泣き出してしまう。

「えっ…早苗ちゃん、なんで?」

鴨居には岡崎の涙の意味が分からなかった。