放浪カモメ

遅刻もしてしまい、教授の出張の都合で、一コマしか講義のなかった鴨居は久しぶりにあの飲み屋を訪れていた。

もちろん、酒を酌み交わす相手は……

「おーっす、カモ久しぶりだなぁ。」

ひょうひょうとした態度。

力の抜けそうな声も、鴨居にはやはり安心できた。

「杉宮先輩。あ、ギプス取れたんですね、良かった。」

鴨居を助ける時に不良に負わされた怪我は、すっかり良くなっていた。

とはいえまだまだリハビリが必要で通院している状態なものの見た目は元通りになっていた。