それなら私は

もうこの世に存在しない

幽霊なんだ、私


「私は、見えてなかったんだ。もう私の体はないから……」

「思い出した?」


私はゆっくり頷いた


―――この日

私はあのサッカー少年がミスして道路に落としたボールを拾って渡そうとした


その後ろからすごい勢いで車が来て――…


はねられて


意識をなくした


『お姉ちゃんっ!?』


目の前には頭から大量の血を流した自分がいる


「……私、死んでたんだね」


下校中の事故だった