「人とは、なんて自分勝手なのかしら……」 私の呟いた言葉を聴いて タビビトは言った 「お前、楽しかった思い出ってあるの?」 「……それなりに」 ただ、こんな考えしか出来ないからかな? 心の底から楽しかったかと聞かれると 頷けない自分がいる 「扉を変えよう」 そう言って タビビトはドアの外に出た まだ遠くから聴こえる幼き日の自分の声を聴きながら 私も彼の後に続いた