本郷はバンド名の欄を睨みながら、うーんと唸る。

誤算だった。

バンド名が決まらなければ、当たり前だがコンテストには出られない。

カッコ良く英語にしようか、それとも日本人ならそれらしく日本語にしようか……


「ジョー★ヶ島美容室ってどうですか!?」

「なんか聞いたことあるし!!つーか最初の『ジョー★』ってなんだよ!極限に微妙なんですけど!!」


五月女の提案は明衣の的確なツッコミによって却下され、再びメンバーは唸る。

すると、城ヶ島が何やら紙を持ってきた。


「これ……良いと思う……」


“High-Sound”


その紙には、そう書かれていて。


「私達の演奏が、バンドコンテストの、一番の盛り上がりになれば良いなって……思ったから」


メンバーはそれを聞いて顔を見合わせた。

そして、五月女が顔を輝かせる。


「良い!それ良いよ!」

「うんうん!どっかの誰かの『ジョー★』より全然良いよ!」

「ちょ、引きずりすぎだよォォΣ!!」


明衣が嬉しそうに五月女に続くと、彼は彼女の言葉にうなだれた。