楡と本郷は暫く睨み合っていたが(一方的に本郷が睨んでいるだけだが)、やがて楡が溜息を吐いた。


「………わかった」

「……………え?」


楡の言葉に、思わず本郷は間抜けな声を出してしまった。

楡はそんな彼女を何とも思わないのか、願書を机から持ち上げて、彼女に手渡した。

そこの顧問確認の欄に、楡の名前と印鑑が押されている。


「部活としては認められないけど、俺が責任とるから。ただし、部室は君が探してくること」

「……じゃあ………」

「aucは俺が管理する」


楡の手から願書を引ったくった本郷は、職員室だということを忘れ、万歳をしながら「ヤッター!」と叫んでしまった。


楡は「早く部室確保してこい」と言いながら再び書類と向き合った。



この日、aucは使われない物置小屋にて発足したのだった。