【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「少しだけ、口に含みなさい。急にたくさん入れてしまっては体にようないからの」


尼さま手ずから水を貰ったが、幾日かぶりの飲みものは、たとえ少量の水であっても容易には喉を通らなかった。


ふたりが見守る中、つっかえつっかえ、ようやく飲み込んだ。


途端に胃の腑がきゅっと痛くなる。


倒れ込むようにまた敷き物に横になったわたしの顔を、尼さまは心配そうに覗き込んだ。

「やはりきついようじゃな。ゆっくりゆっくり慣らしてゆこうぞ」



誰からも見捨てられたわたしを。


どうして尼さまは生かそうとするんだろう。


それが仏に仕えるものの勤めだから?


わたしは神仏にさえ見放された乞食なのに。



なぜだ?



なぜだ?




でも


それが


嬉しい……