俺は、一瞬にして理解した。 ノーマルな佐久浪に、俺をあてがった男が俺を選んだ理由。 佐久浪が、財布を拾っただけの俺を一日中付き合わせ、部屋に呼んだ理由。 それに気付いて、俺は大声で笑い出したい気分になった。 俺はその女の代わりってヤツか。 なんだ、落とすのなんて簡単じゃないか――。 俺は一呼吸置いて、佐久浪に尋ねた。 「……名前は?」 え?という顔をした佐久浪に、俺は微笑んだ。 「似てる女の名前」