葵は傘をじっと見ている。


「この傘…」


「返すの忘れててごめんね!」

加奈はそう言うと、家に入って行った。


俺は葵に傘を手渡す。


葵の顔はみるみる赤くなっていった。


「あのっ、これって…!ごめんね、盗み見してたわけじゃ……!」


葵が焦って言い訳するから俺は笑ってしまった。


「分かってるよ」



俺は葵の手を繋いで、歩きはじめた。