「あっ！姫さんだーお帰り！久しぶり！」


先に気付いた早苗ちゃんが、私を確認するや否や、凄い勢いで駆け寄り私に抱き着いてくる。


「ばっ！はーなーれーろー！」


ナオちゃんが続いてやって来て、慌てて早苗ちゃんを引っぺがし、あざと可愛く頬を膨らましてこっちを見る。


「ただいまナオちゃん。今日は早苗ちゃんも一緒なんだね」


「そんなことどうでもいいの！姫さん、その人誰？」


ナオちゃんはその顔と不機嫌そうな声で、私の後ろに立つ幸四郎を指差す。


……もしかして、なんか変な勘違いされてる？


「大学からの同期の、幸四郎だよ。今は同じ会社の同期」


「ふぅん、同期ってだけで、自分のマンションに、ねぇ？へぇぇ」


私の言葉が余程腑に落ち無いらしいナオちゃんの嫉妬のリアクション、かなり可愛いなおい。


「あはは、ホントに何もないよ。ねぇ？」


しかし、その問いに『おうおう』と適当に頷く幸四郎の目線は、ナオちゃんに釘付けで。


多分、自分の中のイメージの映像を、ナオちゃんでイメージしてるんだ。


こういうときの幸四郎の瞳は、人一倍キラキラするからすぐ分かる。