「なぁ姫ちゃん、この企画の件でちょっと相談なんだけど良い?」


「何?どれどれ」


オフィスの一角、唸る幸四郎の手から企画書を拝借し読んでみる。


どうやら、有名なお菓子の会社のチョコレートのCM企画書みたいで、これまでも多くの良作が放映されたシリーズのものだ。


幸四郎は前回のプロジェクトで評価されて、こんな大仕事を任されるようになってるんだ。


同期としては嬉しい反面、なんだか自分がまだまだで悔しくなってしまう。


「イメージは何となくあるんだけど、それに合った俳優がいないんだよなぁ」


「イメージって?」


「うん、なんつうか、チョコのイメージとしては甘いけどちょっぴり大人な味がするってのがウリなのね。だから、俳優は幼さが残って可愛いんだけど、何処か艶っぽいって人がいいんだよ」


珍しく真面目な幸四郎を見て、協力しようと私もそのイメージの人物を思い浮かべてみる。