すると、姫さんはまるで眠り姫が目を覚ますように……とは行かないけど、顔をぎゅっとすぼめて、ゆっくり瞼を開く。


「あれ……な、お、ちゃ……?」


まだ、意識は夢の中を歩いているらしい姫さん。疲れているだろうし、覚醒させるのは酷だよね。


「えへへ、姫さんのこと好きすぎて、夢の中にまで来ちゃった。もう遅いから、さぁ、もっと深く夢の中へ行こう?」


いつも通りに姫さんの大好きな加減の笑顔を向ければ、ふにゃふにゃ赤ちゃんみたいな笑顔が返ってきて、そして、すぐに寝息が空間を支配した。


「全くもう、世話が焼けるお姫様だなぁ」


完全に寝てしまった姫さんの頬を優しく撫でて、俺は洗濯物の待つリビングへ。


洗濯物を畳んだら、明日姫さんがホッとするような甘くて軽い朝食を用意しておこう。


やっぱり俺の頭の中は、姫さんのことばかり。きっと、出会ったあの日から、姫さんが俺の世界の軸になってしまったんだろう。