「…………いっ!?いやぁぁぁっ!!」
遠い意識の中、一目惚れしたあの人の声が聞こえて、瞼を一度ぎゅうっと閉めて、ちゃんと開く。
「おはよ、姫さん」
思いっきりわざとらしく、爽やかな笑顔で言うと困惑顔が更に困惑顔になった。
昨日のこと、全く覚えてないわけだ。まぁ、あんだけ飲んでたし、狙い通りですけどね。
だから俺は、かまをかけて大袈裟なことを言って、もっと困らせてやるんだ。
「えー、ショックだなぁ……昨日は、あんなに激しかったのに」
そして計算ずくの笑顔を落とすと、下手こいたって顔をして困ってて、なんだかもっとイジメたくなっちゃう。
まあ、やっちゃったって勘違いしてくれるのは計画通りなんだけど。
なんたって朝起きて姫さんの瞳に映った姿はパンイチの俺だから。



