【完】キス、kiss…キス!

とにかく、耐えるべし。相手は酔っ払い。我慢だ我慢。


俺は再び後ろを向いて、姫さんから目線を外し、スーハーと深呼吸。


そのままで待っていると、タイマーの音がリビングに響いた。


ホッ、た……助かった、俺は邪念に打ち勝った。あれは勝利のベルならぬ、勝利のタイマー音だ。


俺は風呂場に直行して、お湯を止め、またリビングまで急いで戻る。


「ほら、姫さん、お風呂準備出来たから入ってきな」


俺が話しかけると、子供みたいな無邪気な笑顔を見せる姫さん。


あの、この笑顔の裏にどんな凶悪な考えをお持ちなのでしょう?


「入ってきな、じゃないでしょ?一緒に入ろ!」


「ま……っ!ちょ、え、はぁ?マジ、すか?」


「なんで慌ててるのぉ?早く行こうよ!!」


どうしよう、その無邪気な笑顔が、今は悪魔の笑顔にしか見えません……。