姫さんはよほどおんぶが楽しいのか俺の肩に顎を乗せてずっと笑っていたが、急に笑うのを止めたかと思えば……。


「ぐすっ……なんでよ秋斗ぉ」


俺の肩に顔を埋めて、ついには嗚咽を漏らし始めた。


そっか……失恋したから、こんなに酔っ払ってるんだ、とこうなってしまっている理由を何となく察してしまう。


こんな綺麗で、だけど笑うと可愛い人をフるなんて、なんて馬鹿な奴なんだろうと思う。


でもラッキーだよね。だって、誰に構うことなく落とせるでしょ?


俺、姫さんに惚れちゃったんだ。だから、絶対に彼女を落としてみせるよ。


「姫さん、ここからどっち?」


「グシュッ……うぅぅ、そこは左ぃ。」


俺だったら絶対そんな涙、流させないもん。だってさ、大切な人に流させるのは嬉し涙だけで充分だから。