涙で霞んだ瞳の先には、いつものナオちゃんの優しい顔があって。その後ろの星空の中のひとつが、何の前触れもなくキラリと流れた。


「あ、ナオちゃん!」


「ん?どうしたの、姫さん」


私が夜空を指差すと、ナオちゃんも何事かと見上げる。だけどそれ以上、星が流れることはなかった。


「あーあ……せっかく流れ星見れたのに、お願い出来なかったなぁ」


「姫さんは、一体何をお願いするつもりだったの?」


ナオちゃんが尋ねたことに対して、私は自分の願いを考えるけど、多すぎて困ってしまう。


「ナオちゃんとずっといれますように、ナオちゃんがずっと私を好きでいますように、それから、それから……」


「ふふっ……姫さんの欲張り。だけどそんなこと、願う必要ないでしょ?」


ナオちゃんが大きな瞳をふっと伏せて笑い、私の頬を優しく撫でる。