「おーおー、気の強いこって。しばらくぶりに会ったけど、前より俺好み」


それでもニヤニヤと笑う秋斗を睨みながら、私は挑発に乗るように唇をタオルで拭った。


「じゃあ、待ってろよ?お前は必ず俺の手元に取り戻す。目、冷まさせてやるよ」


それだけ言ってのけると、秋斗は颯爽と歩いて行ってしまった。


「な……なんだあいつ!」


我に返った早苗ちゃんが叫んだ声が、遠くに響いている気がするけど、なんだか、私の頭は現実に戻れない。


秋斗は身勝手で我が儘。自信家で手段を選ばない、そんな男。きっとこの先、何かが起きるんだろうと、今後が不安になってしまった。


心配なのは、あいつが、ナオちゃんを傷付けるようなことを言ったりしたりしないか、ただただそれだけだ。