「姫さーん!何やって……」


向こうから走って来たナオちゃんと早苗ちゃん。けれど、私と秋斗の間に立ち込める微妙な雰囲気に、黙って立ち止まってしまう。


「……姫子、もしかして今このしょんべんくせぇガキと付き合ってんの?それとも女顔の方?」


秋斗はバカにした顔のまま、ナオちゃんと早苗ちゃんを順番にじっとり観察する。


「ナオちゃんの悪口言わないで。あんたよりは何万倍もいい男なんだから!」


私は怒ってナオちゃんの腕にしがみつき、秋斗の顔に思いっきり指を差した。


「姫さん、もしかしてこの人が前のあの……」


「そう。ナオちゃんと出会う前の最低男。クソ野郎よ」


私が言い放つと、面白くなさそうな顔で見つめてくる鋭い瞳。……と思った瞬間、またニヤリと口角を上げた。