「たださ、そのスピード人それぞれで、ゆっくりな人もいれば尚志みたいに風のような奴だっている。……違うからお互い惹かれ合うし綺麗に見えるんだと、俺は思うけど。姫さんはそう思わない?」


早苗ちゃんの言うことって、いつでも的確で感心してしまう。


その考え方に納得して頷くと、早苗ちゃんは大きな猫目を細めて、本物の子猫ちゃんみたいな顔で微笑んだ。


「さー!今度はマイルの応援だね!……尚志ぃ、400メートルでバテるなよー!」


スパイクの紐を結び直してウォーミングアップしているナオちゃんに、早苗ちゃんは元気に叫ぶ。


「おーう!っていうか、姫さんに近すぎだーかーら!はーなーれーろー!」


叫び返したナオちゃんのその発言に、周りからの視線が恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しい。


私に向かって必死に手を振るナオちゃんは、やっぱキラキラしてて、私にはない眩しさ。


早苗ちゃんの考え方を借りれば、そんな、私とは違うナオちゃんだから、好きになれたんだって思うことが出来るよ。