【完】キス、kiss…キス!

私の車で陸上競技場へ向かい、車から降りると生暖かい風がぶわっと体を包んで、あまり心地良くない。


「うぬー、熱い」


暑いのが嫌いな早苗ちゃんは、微妙な顔をして持参した団扇で扇ぐ。


「はいはい、行くよ」


そんな早苗ちゃんにペットボトル用の保冷剤を渡して、でっかいドーム形状の競技場へ足を踏み込んだ。


「うぃ!おつかれー、尚志どの辺にいるよ?」


早苗ちゃんは自力で探すのが面倒だったのか、ナオちゃんに電話しながら歩く。


私もその後ろについて行きながら、辺りをキョロキョロ。トラックに出る前の広い通路には、各学校のテント。


あっちにもそっちにも、高校生達がキラキラした笑顔でいる。