ホントは二人の邪魔しちゃいけないって分かってるよ。私がいたらラブラブ出来ないわけだし。


……そろそろホテルにでも泊まろうかな。甘えてばかりじゃいけないもんね。


「姫ちゃん、好きなだけいていいから。幸四郎なんか無視してね」


そんな私の考えを読み取ったのか、伊久美が私をふわふわと撫でる。


「伊久美ー!やっぱり、幸四郎なんか止めて私と付き合ってー!」


結局、その優しさに縋っちゃう私。


桶川姫子、26歳。いつまで経っても甘ったれなんです。


「あっ……電話」


イチャイチャしている女性陣をを尻目に、幸四郎が鳴り出した携帯を手に取り、耳に宛てる。


「もしもしー……え?姫ちゃん?うん、いるよ」


幸四郎と電話先の会話の中で、私の名前が呼ばれてビクッと体が動く。もしかしたら、ナオちゃんかもしれないって、怖くなったんだ。


「さ、な、え、く、ん!」


そんな私の気持ちを読み取ったのか、口パクで幸四郎が言った。


ナオちゃんじゃなくて早苗ちゃんだったことに、肩の力がすとんと落ちる。